害虫駆除員が教える蚊対策

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刺す蚊

みなさんは「地球上でもっとも人類を殺害する生物」がなんだか知っていますか?

それは蚊です。

蚊は伝染病の有力な媒介者ですが、例えば2015年の1年間に、蚊は実に75万人の人類の命を奪いました。これは人類による人殺し47万5000人をはるかに上回っています。

害虫としては取るに足りない存在と考えられがちな蚊ですが、実は最も有害な害虫だったのです。ここでは害虫としての蚊についてみていきましょう。

蚊と伝染病

多くの伝染病の媒介者

マラリアや日本脳炎など、蚊によって媒介される伝染病は非常に危険なものが多いのです。最近ではデング熱が日本でも話題となりましたが、ほかにも黄熱病など致死性の高い伝染病が蚊によって媒介されています。

病気ごとに蚊の種類が異なる

マラリアならハマダラカ、デング熱はネッタイシマカとヒトスジシマカといった具合に、蚊はその伝染病ごとに媒介する種類が異なります。

伝染経路としては、日本脳炎のように感染した動物の血を吸った蚊が、人間の血を吸う際にウィルス感染させたり、感染した人間の血を吸って、別の人間の血を吸う際に感染させるなどです。

特定の蚊が特定の伝染病を媒介することから、遺伝子操作した特定の蚊を自然に放つことで、その特定の蚊を駆除できないかという研究も行われています。

蚊に狙われやすい人とは

血液型や温度、服装で変わる

誰だって蚊には刺されたくないものです。それではどんな人が蚊に刺されやすいのでしょう。よく言われるのは血液型ですが、これにはあまり科学的根拠がありません。

一般にはO型B型AB型A型の順で、O型がもっとも刺されやすいと言われますが、その原因となる因子も特に見つかっていません。逆に服装については明白で、黒色やそれに近い色の服装は刺されやすくなります。

これは黒が熱を吸収しやすいためで、蚊は周囲より温度が高い場所へ寄っていく性質があるためです。なお、日焼けした肌も狙われる要因になるようです。

二酸化炭素と湿度、性別でも変わる

二酸化炭素の濃度に蚊は敏感です。また湿度が高い場所にも寄っていくことが分かっています。性別では男性のほうが女性よりも刺されやすいことが分かっています。

このことから、運動のあとなどで体温が上昇し、呼吸回数も増加しているため二酸化炭素排出が増え、汗をかいて湿度が高まった黒い服を着た男性は、かなりの高確率で刺されることがわかります。

また、お酒を飲んだ後も上記と同じような状態になりますから、刺されやすくなるので注意しましょう。

蚊に刺されないための予防法と工夫

温度と湿度 呼吸と服装

もっとも簡単にできる予防法は、黒や暗い色の服装を避けることでしょう。これはあくまでも温度吸収を防ぐためであり、いくら白い服装でも、身体の温度が上昇していては効果がありません。

屋外で急激な運動を行うことは避け、体温が上昇するような状況を作らないことが重要です。

また、呼吸の回数を増やすと周囲の二酸化炭素濃度が濃くなりますから、ゆっくりと深い呼吸を心がけるようにしましょう。

上半身よりも足元が狙われやすい

身体のなかで、蚊がもっとも好むのは足元であることが研究の結果わかってきました。

これは足の常在菌に対して蚊が反応していることに起因しており、簡単に言うと「足の臭い人は蚊に刺されやすい」ということなのだそうです。

正確には、常在菌の種類が多い人ほど刺されやすいということらしいのですが、いずれにしろ足を清潔に保っておくと蚊に刺されにくくなるようです。

蚊が忌避するものはなにか

蚊が苦手なものを身に着けるのも良い方法です。もっともポピュラーなのはハッカで、これに消毒効果のあるアルコールを加えた溶液を作り、足に吹き付けたり足の裏を消毒することで、かなりの効果が期待できると言えるでしょう。

もちろん、蚊取り線香に使用されている殺虫効果のある物質を使用するのも良い手ですが、ハッカや消毒用アルコールのように、直接皮膚に塗布するのは避けたほうが良いでしょう。

蚊から見えなくなる効果がある成分を利用する

最近の虫よけスプレーなどで多く使われているものに、ディートやイカリジンといった成分があります。これは皮膚に塗布することで蚊の知覚センサーをだましてしまうもので、実際に蚊に認識されにくくなるようです。

しかしこの方法では、成分が塗ってある場所にしか効果がなく、わずかでも塗り残しがあれば、そこを狙われてしまいます。全身をくまなく塗ることは不可能ですから、あくまでも露出部分の防除として使用するほうが良いでしょう。

蚊が発生しない環境づくり

自宅付近などに水たまりがあると、それだけで蚊の発生率が高まります。

古タイヤやバケツなど、ボウフラが棲息できるような水たまり環境は、極力減らしていくようにしましょう。

服装、生活環境、防除グッズを駆使し、夏を快適に過ごしましょう。このことは市販の殺虫剤や駆除グッズでは決して起きないことだと言えるでしょう。

その他の害虫駆除についてはこちら → 素人と業者の駆除の違いはココ

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